2つ目の『スタッフには不明にしたい織組織』は、この宵待草の帯。先日、雑談コーデで話をしていて、自分でも複雑だなぁと改めて感じた織物です。
◼︎雑談コーデ#68-前編
https://youtu.be/Km3P-2aJXWs
一応、織物のベースとしては紹巴織。
ですが、ここまで基礎部分を変えれば、紹巴織と呼ばない方が良いかもしれないと思い始めています(他の織組織だと別の名前を付けるレベル)。そこまで変化させたモノづくり、シリーズとしては『宵待草(よいまちぐさ)』です。
織組織について(今回の前提)
その前に、ここで出てくる、織組織ってなに?そもそもの話ですが・・・
一言では言えず、一応『織物の織り方』のことくらいで捉えてもらえると良いと思います、錦とか緞子や紗のことを思ってもらえると、話がわかりやすいかもしれません。
そして、この織組織にはデザインごとに多少差異はあっても、基本はあります。たとえば、筬打ちの数(1寸の間に何回筬を打ち込むか)、使う糸の種類、通す糸の数・・・。それらが絡み合って、私たちは『織組織』と呼んでいます。
同じ機をつかっていても、それらベースをイジることで全く異なる風合いや表現の持った織物をつくることができます。区別・判別のためにも、そのときは織組織を分けることがあります。
そして宵待草の場合
その基準からして、紹巴織からは離れたのがこの宵待草シリーズ。
『豊宵/宵待草』帯の紹介
https://youtube.com/shorts/14c1yXlFilM
この織物のベースを設計したのは随分と昔です。ようやく最近理解され始めてきたのかなぁと、いう雰囲気を社内では感じる織物、くらいちょっと設計は変わっています。地紋自体がすでに『宵待草地紋(よいまちぐさじもん)』と呼ばれるくらい、他とは別の扱いをされています。
構造を単純に書いてしまうと、色の数を倍にして、使う糸量を半分にする。そうすることで、糸の総数は同じで、重くならない。結果として、地部分に使える色を複雑に、地紋と組合わせることで、今までの紹巴織ではできなかった重層な表現ができる。
設計を考えた時の頭の中は、そんな感じです。
潜在的な可能性をすごく感じる織物で、出来上がったものも実際にそうです。ただ、糸同士の絡み方が複雑を極めているため、誰もが気軽に手を付けようとしない織組織でもあります。
今のモノづくりの雰囲気だと、時間を掛けて再始動もありかなぁと・・・思っています。
ちなみに、こちらも宵待草シリーズ『pink tree』。
最初の帯と比較して、こちらは紹巴らしさを残していますが、触ると『しょうは?』。と知っている人ほどなると思います。
